整形外科的疼痛の治療
膝痛、肩痛、腰痛や坐骨神経痛をとるため、さまざまな鎮痛治療が行なわれます。内服薬、外用薬の投与や温熱、電気治療などの物理療法が一般的ですが、当院では局所注射や点滴による鎮痛治療も積極的に行っています。局所注射は、痛みの原因になっている場所に集中的に抗炎症剤などの薬剤を効かせることができますので、効果は早く、極めて効率の良い方法といえます。まずはお話をよく聞いて、注射以外の方法も含め、それぞれの症状にあった最良の痛みをとる治療法を行っています。
(1)腰痛、坐骨神経痛
腰椎や椎間板などが変性、変形して腰椎の中の神経の通り道が狭くなり、下肢の疼痛やしびれが生じるのが坐骨神経痛です。主に椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が原因となり、腰痛を伴うことも多くみられます。また腰椎には異常なく、単に筋肉の緊張や炎症が原因する慢性的な腰痛や、何らかの動作がきっかけに急激に起きる急性腰痛(いわゆるギックリ腰)もあります。
疼痛の原因となっている場所(トリガーポイント)に抗炎症剤の注射を行うのがトリガーポイント注射です。坐骨神経痛に対しては、脊柱管に薬剤を注入する硬膜外ブロック(当院では主に仙骨部から行っています)や神経根に直接薬剤を入れる神経根ブロックが効果的です。いずれも外来レベルで安全に行える方法です。疼痛の部位が多数あるときや、神経痛、しびれが著しいときは、10分程度で終わる抗炎症剤の点滴を行うこともできます。効果は一時的な場合もありますが、炎症が治まると痛みの連鎖がとれて長期間の除痛効果が得られます。
脊柱管狭窄症による
神経根障害のイメージ
神経根ブロックの際の
神経根の造影写真
(2)膝痛、肩痛
変形性関節症や関節リウマチによる膝関節痛や肩関節周囲炎(五十肩)による肩関節痛に対しては、抗炎症剤やヒアルロン酸の関節内注射が効果的です。関節内に入ったヒアルロン酸は時間とともに分解されていきますが、定期的に注射することにより関節の動きが円滑になり、炎症がおさまっていくことが期待できます。
(3)肩こり
肩こりの原因はさまざまですが、頚椎が原因することが多く、姿勢や冷えがこり感を増長します。上肢や手指の痛み、しびれを伴う場合もあります。トリガーポイント注射に温熱、電気治療、マッサージを併用して治療します。